Japanese Eye On イギリスの人気料理ナンバー1!
以前日本にいた時、子どもの好きな料理トップ3というのを聞いた事がある。
それらは何かといえば、ハンバーグ、カレー、ラーメンなのだそうだ。伝統的日本食はみごとにひとつもはいっていない。これが日本人全体となれば事情は違って来るのかもしれないが、子供たちに限ればそうかもしれないなあ、とつい納得させられる結果ではある。
それではイギリスではどうなのだろうか?
最近BBCが行なった調査によれば一番人気は チキンティッカマサラ なのだそうだ。はたしてこれはいったいなんぞや?
日本人で知っている人がはたしているだろうか? もっともイギリスに来た事のある人にはわかるかもしれない。逆に言えばこれはイギリスにしか存在しない英国風インド料理なのである。要は赤っぽい色をしたチキンカレーを想像していただければいい。
ところでインドにはカレー(curry)という料理はない。カリーというのはスパイス等を使って肉や野菜を煮込んだ汁のことであるが、それを料理の名前と勘違いしたイギリス人がそのレシピを本国に持ち込み、やがて全世界に広まったのである。
その頃インドは大英帝国の植民地であり、異国情緒にあこがれた多くのイギリス人がかの地を訪れ、いままで口にしたこともないスパイスの効いた料理に度肝を抜かれつつもそれに魅了されていったのであった。
本国に帰ってからもあのスパイシーな料理を再び! と料理人に注文したのも無理はない。しかし、慣れないスパイスを現地人並みに扱えるはずも無く、試行錯誤であったであろう。そこであらかじめスパイスをほどよく調合したカレー粉なるものが発明されたのである。
さすがイギリス人は発明の天才!
ついでに小麦粉を使ってとろみを付ける事も思い付いた。やがてそれが日本に伝わり、現在のような日本式カレーに発展していったのである。つまり日本のカレーはイギリス式なのであり、インド式ではない。インドにいった事のある人は本場のカレーがずいぶん水っぽいのに驚かされた事と思う。それにはこのような理由があったのである。もっとも中には反対に汁気のないものも存在する。
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さて、インドから移民して来た人が生活の糧を得るのにもっとも手っ取り早かったのがインド料理レストランを開く事であった。これらはロンドンなどの都市を中心として増えていったが、やがてインド料理の普及にともない、もっと気軽に、地元で味わえるインド料理として、テイクアウェイ店が全国中に広がっていった。
ところで本格的インド料理店のメニューをご覧になった方にはわかると思うけど、ほとんどの料理がなじみの無い名前である。
私にわかるのはせいぜい コーマ、マドラス、キーマ、タンドーリ、などであろうか。これらの名前はイギリスに来てから覚えたものであって日本にいた時にはカレーが唯一のインド料理の知識であった。
今から思うと情けないが、当時の平均的日本人にはその程度が普通だったはずである。(と信じたい)
今でもイギリスのインドレストランに行けばカレーというメニューがのっていることが多い。これはおそらく私のようなインド料理無知人間のためにあえて本国にはないメニューを載せているものと思われる。
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インド料理の普及に伴い、テレビでレシピを披露するシェフも増えた。そしてそれらのシェフがプロデュースした市販のカレーソースもだんだんと増えていった。
イギリスでもっとも一般的なカレーソースは日本のような固形ではなく、スープ、もしくはゆるめのペースト状である。作り方はまず肉、野菜を炒めてソースと混ぜてしばらく煮込むだけ、といたってシンプルであることが多い。(日本版も考えてみればたいして変わらないけど)ここで注意を要するのは、ソース自体にとろみが付いているのでくっつきやすく焦げやすいということである。従ってなべやフライパンにテフロン加工のものを使う人が多い。
テフロン、もしくはノンスティックの加工がほどこしてある調理器具はたしかに便利であるが、これらの表面は永久的に持つものではない。使用している内に段々と剥がれて来るのである。最近、そのコーティングの人体に対する悪影響が報道された。発ガン性をもつ可能性もあるそうだ。これらのなべ等を使う時にはプラスティック、木製などの道具を使う事が絶対に必要だが、そんなことはおかまいなしのシェフのなんと多いことか。特にテレビに出るセレブシェフにはもっと自覚を持ってもらいたいものだ。
調理器具の正しい使い方だけでなく、食中毒の予防、食品衛生、食材を無駄なく使うこと、などにも気をつかってもらいたい。
彼らの影響力をあなどるなかれ。有名なデリア スミス の番組のあとではその時使われた食材がスーパーから消えてなくなるくらいなのだから。
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さて、そこそこのインド料理が手軽に家庭で作れるようになると、もっと違う物を、より本格的なものをと、欲が出て来るのが人間というものである。最近のカレーソースは一段と差別化をはかるようになった。すなわち、ダンサク、ビンダルー、ジャルフレッジイなどというインドでは誰でも知っているであろう、個々の料理の名前を付けたソースが出始めたのである。一部の人の間ではそれらの名前を正しく発音出来る事がステータスシンボルのように扱われている。 はたしてインドにどれくらいの名前の違う料理が存在するかは知らないけど、その差というのはスパイスの配合であったり、調理法であったり、煮込みに使う食材の違いだったりするわけだ。
イギリス人のうちどれくらいの人々がこの違い知っているというのであろうか? インド人でないとわからない事が多いのでその言葉の意味を解説するウエッブサイトも存在し、そこで違いを勉強しておくとレストランにいった時に回りのみんなに大きな顔ができるという利点がある。
でも、はたして味見をしただけでその料理の名前をいいあてることの出きる人がどれくらいいるというのであろうか。なんといっても、同じ名前が付いていてもメーカーによって味が違うのである。
もっともそれは何についても、たとえば日本の食品についてもいえることなのではあるが。消費者は数ある物の中から自分の好みに合ったものを選べばいいだけである。
チキンはもちろん鶏である。インドでは牛は神聖な動物なので食べる事はない。だからインドにはビーフカレーというものは存在しないのだあ! と、インド系シェフが何度も声を大きくして言っていた。 豚もイスラム教徒に敬意を表して食べない所が多い。するとチキンがもっとも一般的な肉ということになる。その次はおそらく羊であろう。
ティッカというのはスパイスとヨーグルトを混ぜたものに肉を漬けておいてオーブン(タンドール)で焼いたものである。タンドーリチキンと違って骨無しの肉を串にさして焼く事が多いそうだ。タンドーリが赤いのに対して本来のティッカは黄色っぽい色である。
マサラというのはスパイスのことである。(ガラムマサラとはいろいろなスパイスという意味)
実際のチキンティッカマサラはやたらと赤い色のソースの中に骨なしのチキンのブツ切りが入っていて(マリネされたものとそうでないものがある)、辛さは中辛くらい、米もしくはナンで食べるのが普通である。なぜそんなに赤いのかというと、それは食紅で色を付けるからである。ではなぜわざわざ色を付けるのかというとそれが消費者の欲求だからである。イギリス人はティッカマサラは赤いのが本当であり赤くないのはニセモノだと思っていて、着色されていないティッカマサラは売れないのである。
ところが最近、この着色料の中に発癌性のあるものが市場に出回っている事が分かり、大騒動になった。実際には着色されたスパイスが市販されていて、それらが出来合いのレディミール(ready meal)のカレーに使用されていた、ということなのであるが。
そのニュースのあとであったのが某一流インドレストランのシェフによる本来のチキンティッカマサラの紹介であった。
そのシェフは着色料抜きで料理を作ったので、出来上がったものは黄土色というか薄い茶色のような色をしていた。
彼は言った。' これが本当のチキンティッカマサラです!' その後で ' これはインドにはありません '、と付け加える事も忘れなかった。
もっとも、最近はインドのレストランに行って ' チキンティッカマサラ ' を注文するイギリス人が増えたのでメニューに取り入れているところもあるそうだ。都市部では調合済みのカレー粉も買えるという。
いったいどこからこの名前が付いたのであろうか。はっきりとした由来は誰にもわからないそうである。単にチキンカレーと呼ぶよりは本格的に聞こえるので体裁がいいのかもしれない。なんせこういう事はいちど走り出すと止めようがなくなるものである。
インド風カレーの他に最近人気があるのはグリーン、レッドなどのタイカレーである。これらのソースもいろんなメーカーから市販されている。タイレストランの数もうなぎのぼりで増えている。
それでは日本式カレーはどうかといえば、うーん聞いた事ないなあ。日本人以外には食べる人がいないのかもしれない。もっとも日本式のどろっとしたカレーにはあのもっちりとした日本米でないといまいち合わないと思うのは私だけではないはずだ。
米の調理の仕方が超へたくそなイギリス人には難しいかもしれない。
日本にカレーが紹介されてから100年以上経った。日本のやきそばが本家中国のものとはたもとを分かち、独自の道をすすんでいるのと同じく、日本式カレーはすでに日本料理の一種であると思う。
それが正しいとするならビーフカレーもチキンティッカマサラも立派なインド風イギリス料理といえるのではないだろうか。
もとは勘違いから始まったとはいえ、今ではカレーという名前は世界的である。イギリス発世界行き、ここに健在!
PS
日本とイギリスのカレーの類似点は小麦粉を使うことだけではない。イギリスにもちゃんとあるんですねえ、辛さに対する挑戦というのが。某レストランでは世界一辛いカレー( Curry Hell )というのがメニューにあって、これを完食した人には証明書が授与されるそうだ。
これに比べると大辛のビンダルーがアイスクリームのように甘く感じられる、と説明にあります。マジ?
日本の辛党自慢の方、チャレンジしてみては?
場所はニューカッスル、カリーキャピタル( Newcastle, Curry Capital ) というお店です。値段は £6.95、完食すればただだそうですが、挑戦者の体に変調等があっても店側はいっさいの責任を取りません、ということです。
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